第12回学術集会ご参加へのお礼
第12回学術集会長 川野 良子
2016年10月1日(土曜日)、時折小雨が降る中、東京女子医科大学看護学会第12回学術集会を開催いたしました。今回は、臨床で活躍する看護職の実践に役立つ内容をふんだんに盛り込んだ企画に力を注ぎました。そして、当日は、「役職や立場を超えて互いに学び合う場」を目指し、学会の企画委員や実行委員もできる限り集会に参加するよう工夫し、看護専門学校の学生を含む269名の方にご参加いただきました。
特別講演では、本学名誉教授の岩田誠氏に、「ケア」とは何かについてご講演いただきました。「ケアの語源」から医師と看護職の役割の違いなど、明日からの力になるようなお話をいただきました。
教育セミナーでは、長年、マザーテレサの施設でボランティア活動を継続されている関屋スミ子氏から、お元気な頃のマザーテレサの活動についてお話いただき、施設で暮らす利用者やケアをされるシスターやボランティアの方々の取り組みの様子を写真から示していただきました。物資の乏しい中、毎日シーツ交換をするために大量のシーツを炎天下の中、手作業で洗濯するボランティアの表情が、とても穏やかな優しい表情であることは心にしみました。また、資生堂ジャパン株式会社の上島悦子氏からは、電話でのクレーム対応のご経験をもとに、患者対応や謝罪のタイミングなど、ひごろの対応の反省につながるような有益なご講演をいただきました。
シンポジウムでは、「私たちの看護の原点とこれからの挑戦」というテーマで、訪問看護ステーションを開設し家族支援をしておられる平原真紀氏、地域で看護ベンチャーとして活動中の川添高志氏、当院社会支援部で高次機能障害患者ケアを提供している佐藤由紀子氏、米国でFNPの認定を受けご活躍中の倉本留美氏より、看護の原点と今後の挑戦についてお話を伺いました。
看護実践セミナーは、「最新のエビデンスと看護の原点をつなぐ」というテーマで、卓越した知識と技をもってケアを実践しておられる看護実践者から、その技を伝承していただくことをねらい、今回の目玉となる実践セミナーを企画しました。自分自身の目指す看護を実践するために日常生活に瞑想を取り入れる体験では、会場の参加者自身が講師のリードのもとに、瞑想を体験しました。また、認知症や脳の解剖や機能を理解したうえで、様々な症状をケアに逆活用する関りは、多くの看護師が素直に納得できる講演で、もっともっと教えていただきたいと声が多く聴かれました。そして、別会場では、食事時のポジショニングを通して基本的なスキルチェックが行われ、そこで示された「食」への積極的な関りは、明日から取り組みたい内容でした。さらに、超出生体重児の小さな命から伝わる声なきメッセージをキャッチし、ケアを繋いでいく関わりは、最先端医療の中での看護の本質に感銘を受けるセミナーでした。
参加者からは、4つの実践セミナーすべてに参加したかったという声を多くいただき、臨床で働く看護職員には、大変有益なセミナーであったと確信いたしました。
ご参加いただきました皆様、そして、学会関係の皆様には心より御礼申し上げます。