第16回学術集会ご参加へのお礼
第16回学術集会長 池田真理
企画委員一同
今年は,新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のために,東京女子医科大学看護学会としては初の試みであるオンライン学会を開催しました。9月25日からのオンデマンド配信を開始し,ライブ配信の10月3日当日には320名余りの方にご参加いただきました。直接皆さまとお会いできなかった残念でしたが,オンラインになることによって遠方の方も参加しやすかったようです。学会テーマは,昨今,患者さんやその家族の文化背景を含めた多様な価値観を理解して,丁寧なケアを提供することが求められてきていることから『多様性を活かし創造するケア』としました。大会長講演では,さまざまな価値観をもった人材が集まるとイノベーションが生まれる一方で,意見のぶつかり合いが避けられないなど課題があるともいわれていますが,多様性のメリットとデメリットを考える前に自分自身の中にある多様性について考えてみてはどうかいうお話をしました。
大会長講演(座長の次期大会長坂本倫美氏と)
特別講演では,『他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論』の著者の宇田川元一先生をお迎えし,オンデマンドで学術集会に先立ち事前に見ていただいている前提で,当日はライブセッションを行いました。参加者からは,Zoomのチャットを利用し,多くの質問がでました。COVID-19のような様々な想定外の状況や不機嫌な日常にあっても,組織を変革していくために対話的な知性を持つことがもたらす意義について考えることができました。宇田川先生の回答で印象に残っていることは「大事にしているものを守るために,変革は起こしていかないとならない」。肝に銘じたいです。
特別講演(宇田川元一氏)
看護職キャリア開発支援部門共催の交流セッション『看護職のキャリア,そこが知りたい!』では,活躍されている現職の看護職の多様なキャリアの軌跡を知り,さらには参加者からの活発な質問でやり取りができました。2020年はNursing Nowの年で,看護職への関心を深め,地位を向上することを目的とした世界的なキャンペーンが行われています。「看護師」という自由なパスポートを手に入れた私たちが,行動を起こさなければと,再確認させてもらったセッションとなりました。
交流セッション
最後は,シンポジウム『多様性を活かしたチーム実践』で,専門看護師,建築家,美容ジャーナリストの方に話をいただきました。多様な職種が集まった組織だからこそ実現できたケア・サービスについての講演に対して,参加者からは,その進め方のコツや大変だったことなどについての質問が多く寄せられました。患者,クライエントのwell-beingを目指すといった共通の目的があることで多職種が連携することによって得られる力についてのディスカッションとなり,大変盛り上がりました。
座長(濱田由紀氏)とシンポジスト(時計回り:渡邉健介氏,山崎多賀子氏,高木志帆氏)
一般演題は,オンデマンドで音声付きのPPTを公開し,視聴者が著者へのコメントを送れるように工夫をしました。少しでも学術集会の双方向性が残せたのはと思っています。
学会の開催にあたり,多くのご寄付等をお寄せいただきました皆様,また多大なるご支援を賜りました関係者の皆様に深く感謝申し上げます。